早稲田アカデミーの躍進

中学受験全般

以前の記事の通り、我が家も悩みに悩んでSAPIXへの入塾を決めたわけですが、最近SNSで「SAPIXの牙城は崩れ、早稲田アカデミーが躍進している」というポストを見かけたりします。今日はちょっとここに触れてみたいと思います。

首都圏における中学受験市場は、少子化というマクロ経済的な逆風に抗いながら、依然として過熱の一途を辿っています。その中心地である塾業界において、長年「絶対王者」として君臨してきたSAPIXに対し、近年、早稲田アカデミー(以下、早稲アカ)が猛烈な追撃を見せているという噂です。特に、合格実績の算出基準を巡る噂や、早稲アカの急激な合格者数増加の背景にある本質的な教育改革の有無について、多くの保護者が関心を寄せる論点であると思っています。

平たく言えば、「うちはSAPIX選んじゃったけど大丈夫?」という話です。

中学受験塾の評価を決定づける最大の指標は誰に聞くまでもなく合格実績であることは明らかです。しかし、「講習を一度受けただけでカウントする」といった行為もあるだろうなというのは想像に難くなく、単に合格者数を見ても判断がつきかねると長年感じていました。

でも実は、合格実績というものには業界内で自主的に決められた基準があります。

項目合格実績に含めるための必須条件
在籍期間受験直前の6か月間のうち、継続的に3か月以上在籍していること
受講時間数通常の学習指導において、受講時間数が合計30時間を超えること
除外事項模試のみの受講生、契約・通塾の実体がない生徒

早稲アカはこのガイドラインを遵守していることを公表しており、公式ウェブサイトでも「全国学習塾協会の基準に基づき、受験直前の6か月のうち、継続的に3か月以上在籍し、かつ受講時間数が30時間を超える生徒」のみをカウントしていると明記しています 。さすがです。

それでは、他塾の生徒の合格数が流入しているのではないかという噂はどこからくるのでしょうか。

その答えは、早稲アカの看板講座である「NN(何がなんでも)志望校別コース」にあるものと思います。このコースは開成、麻布、武蔵、桜蔭といった難関校に特化した日曜開催の選抜講座であり、その質の高さから、SAPIXなどの他塾にメインで通う生徒が志望校対策のみを目的として受講するケースが多くあるようです。

この人気講座により、日曜日の週1回の授業(約5時間)を6回程度受け、3か月間の在籍期間を満たすことができれば、他塾のメイン在籍生徒を自塾の実績として計上できるというマジックが発動するのです。これは他塾の優秀層を「正規の受講生」として実績に取り込む高度なマーケティング戦略といえます。

SAPIXは依然として最難関校において圧倒的な強さを誇っています。2026年度入試においても、開成220名、麻布176名、桜蔭174名、筑駒68名と、主要なトップ校で最多の合格者を輩出し続けています 。しかし、その成長率や占有率には、かつての勢いに陰りが見える部分も存在すると言われています。

SAPIXの課題は、その特異な教育モデルが現代の家庭環境、特に共働き世帯の増加という社会背景と摩擦を起こし始めている点にあるものと思います。SAPIX「プリントの当日配布」というスタイルを貫いており、予習を排し、授業後の膨大な復習を家庭に委ねるシステムをとっています 。この「親の関与」が前提のシステムは、家庭側の負担を極限まで高めていて、親がマネジメントしきれなくなった家庭の生徒が他塾へ流出する、あるいは個別指導を併用せざるを得なくなるという事態を招いているのでしょう。

近年、子育て層への重税や社会の無理解が及ぼす家庭への負担が子育て罰とも言われる時代となっており、中学受験の負担を家庭に求めるシステムが大きな不安となり、「面倒見が良い」と言われる塾に生徒が流れるのも理解できるというものです。 

さらに、早稲アカが業績と実績を伸ばしている理由は、他塾生の取り込みといった戦略面だけではないようです。同塾は「熱血」という従来のブランドイメージを維持しつつ、デジタルトランスフォーメーション(DX)や個別最適化といった現代的な教育改革を組織的に進めていると聞いています。

こうしたマーケティング戦略、不安を軽減する対応、新しい時代への対応を進めたことにより、早稲アカの平均塾生数は増加しており、実際の合格実績においても難関校での伸びが顕著となっています 。

早稲アカは合格実績算出のルールを戦略的に活用し、NNコース等を通じて他塾の優秀層を取り込んでいるのですが、それは、他塾生が「早稲アカの志望校対策を受けたい」と切望するだけの教育コンテンツを磨き上げた結果であると言えるでしょう。

一方でSAPIXは、その圧倒的な実績ゆえにシステムの硬直化というリスクを抱えているものと思います。家庭への過度な負担を強いるモデルは、今後の少子化と働き方の変化の中で、さらなる挑戦を受けることになるのかもしれません。

しかし、僕は中学受験の内容を親があまり知らないまま進めるのは好みではないし、現時点ではSAPIXの高度な復習モデルで下地を作ってから他塾の優秀なコースを一部取り入れるのが良いのかなと思っているので、最初はSAPIXから始めました。うちの息子君は、習っていない新しいことを予習で知るよりもオープンな場で知った方が響きやすいみたいですし。

僕の交友関係の狭い範囲ですが、実際に親御さんから話を聞くと、SAPIXメインで通っていた子供の方が成果が出ていると聞きます。ただし、DXへの取り組みという部分でゲームチェンジが起こった場合は、転塾することも検討する必要があると思っています。

結局は、子供にどのような勉強の仕方が合っているのかという「つまらない結論」なのですが、親の伴走が期待でき、子供がドライな環境を好むのであればSAPIX、家庭学習の管理に限界があり、子供のやる気のムラを教師からの励ましで解消したい場合は早稲アカが良いのでしょう。

近年の早稲アカのマーケティング戦略は企業としてとても優秀だと思います。そして、早稲アカが躍進してきていると言うことも頭の中に入れておかないといけないなと思っています。

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